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映画『シンシティ』昨年からの持ち越しで観た映画。年末までに見る予定だったのですが…。
フランクミラー原作のコミックを映画化した作品。
といっても原作については全く知らないので比較してどうかは言いようがない。
この映画最大の特長は原作の雰囲気を再現するため全編モノクロで描かれていること。
更に再現度を最大限高めるため背景はCGで作られているようで独特の雰囲気がある。
そこに特定の場面でドレスや口紅の赤、ブロンドヘアーの金など、アクセントとして部分的に色が加えられることで非常に印象的な場面となる。
この演出はなかなか秀逸です。
白黒のおかげで際立つ光と闇の表現も綺麗に出ています。
物語は関連性をもつ3つのエピソード+1で成り立っているオムニバス形式。
1つ目の話は心臓病を患った引退間近の刑事が誘拐された少女を助ける話。
救出後主人公は撃たれて死んだかと思われたが、3つ目の話終了後に4つ目の話として実は生きていることが判明。こうしたストーリーの仕掛けはお見事です。
最初に助けた少女が大人になって再び助ける、という流れになており、ブルースウィリス演じる主役のハーディガン刑事が強くて渋くて、実にカッコいい役どころです。
敵は最初のエピソードで倒した敵が再び襲ってくるのですが、黄色いぬらりひょんみたいになってしまったボスがバットマンに出てくる敵役怪人みたいでなんとも滑稽です(笑
2つ目のエピソードは殺された美女の仇討ちに向かう超人的な大男の話。
巨躯を活かした豪快なアクションや高所からの飛び降り・アクロバティックなアクション、撃たれたりはねられても死ななかったりといった超人ぶりは見た目のせいもあってかハルクを思わせる。
アクションの激しさのおかげで一番ハデさ・見応えのあるエピソードだったかな。
非情な手段で敵の正体を突き止めていく過程や、ライバル的な殺し屋との対決も見モノ。
復讐は果たしたものの、最後は……でも綺麗にまとまった結末なのは良かった。
3つ目の娼婦たちの街を守るために戦う話は一見主人公が活躍しているように見えて実際ほとんどなにもしておらず、実質的にミホという謎の日本人風キャラが主役のような活躍ぶり。
ミホは手裏剣を飛ばしたり刀を振り回したりと間違った日本人のイメージ全開といったキャラで、彼女の存在のせいもあってか他の2編に比べてより一層コミック的な色合いが強くなってる。
身体に矢の刺さった敵が「なぁオレ矢が刺さってんだけど?(笑)」みたいに言ってる場面は笑える。
最後の女性陣が屋上から一斉に銃を撃ちまくって敵を殲滅するシーンなんて完全にコミックだねw
惚れた女性のために戦ってるはずがミホに助けられるシーンでいきなり彼女を天使だといい出したり、このエピソードだけ主人公の立ち位置が妙に安定しないのは気になった。
ラストシーンの病院はどういう意味があったのかな?ベッキーを探してたような口ぶりだったけど。
裏切り者はやっぱり報いを与えないとだめってことでしょうかw
予想してたよりアクション性も高いし、シナリオの質も高くていい映画だった。
オムニバス形式ということで1エピソードあたりの内容が濃密に圧縮されている感じで、モノローグを基本とし効果的に使ったストーリー進行のおかげで話の流れが分かりやすい上にテンポもよくとても面白かった。
特定のエピソードに別のエピソードの主役や重要人物が登場していたりと少しずつ話がリンクしているのも見せ方として良かった点。
コミック原作と言っても全体にダークな雰囲気でバイオレンスあり、エロスあり、主役3人のうち2人が死ぬようなシックさもありで、どちらかというと大人向けな内容ですね。
映像面も見所一杯ですが影絵風の画面になるところが動きがぎこちなかったりしてちょっと変だったかな…。あれも演出の一環でわざとやってるのかもしれませんが。
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映画『CUBE』謎の立方体施設からの脱出劇を描く映画。
施設は多数の立方体の部屋で構成されており、凶悪なトラップの仕掛けられた部屋も多数ある。
冒頭で男性がいきなりキューブ状にバラバラされるシーンはインパクトありすぎ。
脱出パズル的な面白さがメインかと思いますが、どちらかというと人間性を試すようなシチュが多い、人間ドラマとして見るべきでしょうか。
というか数学パズルとしては順列やら因数分解やらでどんどん複雑になるのでよくワカリマセン(笑
部屋が移動している事実とその計算方法のくだりはもうチンプンカンプンですw
まあ別に数学的な要素は意識しなくても楽しめるので問題はありません。
ただの学生と思われた少女が数学のエキスパートだったり、障害者のカザンが一瞬で因数分解を行う天才だったりと、一見役にたたなそうなキャラが実は脱出に物凄く役に立ったりして、メンバー全員何かしら役割やスキルがあるのも面白い点。
逆に脱出者たちの統率役でリーダー役、主人公的存在かと思われた警官が実はろくでもない奴で暴走し始めた挙句最後はラスボスになってしまうというのも意外というか…。
こういう輩がラストで無惨な死に様を晒してくれたのは良かったけど、結局脱出できたのもカザンだけというのは喜んでいいのか悪いのか。
しかしあの警官、最後はどうやって音もなく接近できたのだろう。
どちらかというと敵側の人間と言えたワースが終盤でヒーロー的な役回りになっていくのも面白い点だったかな。
キューブ施設の謎などは投げっぱなしになってますが(続編で明かされているらしいですが)、色々考えさせられる部分も多いですね。
極限状態での人間心理の危うさを描いた作品といえるかも。
無意味な公共事業に対する批判とか、社会派なネタも含まれていて単なる娯楽にとどまっていない。
この作品が後の”限定された状況からの脱出モノ”に影響を与えたと言われるのも納得。
一度見ておくとその手の作品がより深く楽しめるようになるかもしれません。
しかし深夜とはいえ元日からエグイ映画放送してますね(笑
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